記事一覧

コエンザイムQ10も肌に塗っても意味はない②

日本でも、2001年には食品成分として配合することが認められ、コエンザイムQ10ブームが起こったわけです。2004年には化粧品への使用も許可されました。サプリメントや化粧品でのうたい文句は、「若返り」です。加齢に伴い体内のコエンザイムQ10が減ると、細胞内のミトコンドリアも上手にエネルギーを作れなくなります。その結果、細胞も元気がなくなって老化が加速する。だからコエンザイムQ10を補ってエネルギー量を上げ、細胞を元気にしようというのです。コエンザイムQ10には、抗酸化作用もあるといい、一般的な「抗酸化作用」イコール「老化防止」のイメージにもピッタリ当てはめてあります。

さらに、細胞を若返らせるだけでなく、ミトコンドリアのエネルギーサイクルを上手に回すことでダイエット効果も期待できるというロジックもありました。細胞内にあるミトコンドリアは、エネルギーの源ですから、そのエネルギーサイクルを上手く回せば代謝も上がるはずです。代謝が上がれば脂肪も燃焼されやすくなり、自然に体重が落ちるというわけです。美肌に関していえば、さらに飛躍されたイメージで語られています。ミトコンドリアの働きをサポートすることで、細胞は活性化して若返る。だから、お肌のハリもよくなるというのです。まさに強引すぎる論調です。

ところが、その論調が高じて、「コエンザイムQ10」イコール「美肌」のイメージが持たれているのです。しかし、科学的に見ると、塗ったり食べたりしたコエンザイムQ10が、それを必要としているミトコンドリアまで届くとは考えられません。仮に届いたとしても、ミトコンドリアが活発な状態でなければ、材料は使われないのです。なにしろ、コエンザイムQ10を飲んだからといって、全てのミトコンドリのエネルギーサイクルを活性化させるという証拠は何もないのですから。

「コエンザイムQ10のサブリを飲んで身体が軽くなった」「元気になった」という方がいても、それが本当にコエンザイムQ10によるものかどうか、科学的に証明されているわけではないのです。近年、ミトコンドリアは注目の的です。生き物の細胞に存在し、まるでひとつの生き物のような機能を備え、生物の進化もミトコンドリアなしでは語れないというほど、とても興味深い機能を持っています。それゆえでしょうか、ミトコンドリアに関係したサプリメントなどが登場しやすい状況になっています。新しい素材が登場するたびに思うのは、素材名を変えただけでうたい文句はあまり変わらないということです。

コエンザイムQ10も肌に塗っても意味はない①

一時、大ブームとなったコエンザイムQ10も、「美肌効果」がうたい文句になっていました。スキンケアの化粧品の成分として、今も使われています。もともとコエンザイムQ10は、アンチエイジングの素材として注目を集めました。それから飛躍して美肌効果との宣伝文旬になっていますが、科学的な美肌への効果は検証されていません。それにも関わらず、美肌と関連させたイメージが横行していることに、私は横間を感じています。そもそもコエンザイムQ10は、肌を構成する細胞ではありません。人間の全身にある細胞の中の小さな器官に、関わっている成分にすぎないのです。

人間にはおよそ60兆個の細胞がありますが、その細胞の中にはミトコンドリアという小器官が存在しています。ミトコンドリアは酸素を用いてエネルギーを生み出し、まるで生き物のようです。このミトコンドリアのエネルギーのおかげで、人間は呼吸して心臓を動かすといった基本的なことから、激しい運動もできます。コエンザイムQ10は、ミトコンドリアがエネルギーを生み出すときに使う材料の一種です。ミトコンドリアには必要不可欠ともいうべきコエンザイムQ10ですが、体内でも自然に作られるため、わざわざ摂取をする必要はありません。そんなコエンザイムQ10が、なぜ美肌効果があるとされているのか。そこにはカラクリがありました。

コエンザイムQ10は、1957年にウィスコンシン大付属酵素研究所で心臓の細胞のミトコンドリアから発見されました。その後、世界でコエンザイムQ10に関する研究は進められ、1972年には米国で心臓病の人にコエンザイムQ10が欠乏していると報告されました。その翌年には日本でうっ血性心不全の治療薬として承認され、心臓病の薬として一躍脚光を浴びたのです。今でも医薬品として存在しています。しかし、その後、米国の心臓学会ではコエンザイムQ10について治療で用いることに対し、科学的な根拠が得られないために否定されました。せっかく薬として世に出たコエンザイムQ10です。米国では心臓病の薬として否定されても、成分の有効性の研究が進められ、1990年代にサプリメントとして流通が始まりました。

コラーゲン配合化粧品に「美肌」効果はない③

真新しい畳を想像してみてください。青くイグサの香りが残る畳は、日光に長時間さらされると黄色くなって弾力が失われます。それを保護するために、日差しが強い部分の畳には、新聞紙などを上に置いて保護することがあるはずです。肌についても、表面を保湿する化粧水などは、畳の上に置いた新聞紙と同じ役割を果たします。しかし、新聞紙は畳には置き換わりません。化粧品のコラーゲンは、新聞紙と同じです。コラーゲン配合の化粧品を使っても、畳の上にパラパラと新聞紙を載せたことにしかならないのです。

こんな状態が、コラーゲン配合の化粧品を使っても起こっていると思っていただきたい。コラーゲンは塗っても、肌のコラーゲンには置き換わり得ないのですから。科学的には肌からの補給が証明されていないにも関わらず、コラーゲン配合の化粧品が山ほど売り出されています。確かに、肌の表面にコラーゲンをつけることで、水分の蒸発を防ぎ、肌の表面を保護することにはつながるかもしれません。しかし、それはコラーゲンでなくても、単なる油分でも十分に同じ役割を果たしてくれます。

油分はべ夕べタしますし、高分子のコラーゲンの保湿力は高いので、「保湿」の意味でコラーゲン配合の化粧品を使うといいでしょう。「コラーゲン配合化粧品」イコール「美肌」は、肌へのコラーゲン補充ではなく保湿に役立つものと考えてください。このように、イメージ戦略を正しく解釈することで、良い商品選びなどにも結びつけていただければと思います。

コラーゲン配合化粧品に「美肌」効果はない②

実は、コラーゲンと一言でいってもたくさんの種類があるのです。コラーゲンは、専門的にいうとアミノ酸が50個以上連なったポリペプチドという状態で、鎖のように右巻きに絡み合っています。イメージとして、洋食のコース料理を思い浮かべてください。前菜のお皿、スープのお皿、メインディッシュのお皿、デザートのお皿があります。トータルのコース料理の名前が「コラーゲン」とします。コース料理は、それぞれのお皿の料理によって内容が変わります。そのお皿がポリペプチドであり、ひとつひとつの料理に使われている材料がアミノ酸です。

つまり、コース料理であるコラーゲンは、その料理内容によって何種類ものメニューがあるのです。料理はお好みで選べますが、人間の身体では、生まれたときから各器官でコラーゲンのメニューは決まっています。肌だけでなく、骨や関節、内臓などの細胞の周囲にコラーゲンは存在し、肌のコラーゲンと、脚の腱のコラーゲンも、種類が違うのです。肌のコラーゲンと、脚の腱のコラーゲンの種類が同じであれば、腱は関節を支えたり動かしたりすることはできません。強度が弱すぎるのです。

器官によって必要な強度やクッション性などが備えられ、それに合わせてコラーゲンは作られています。肌のコラーゲンも1種類ではありません。クッションの役割を果たすコラーゲンもあれば、組織をつなぎ合わせる接着剤の役割を持つコラーゲンもあります。そして、化粧品などに配合されているコラーゲンは、当然のことながら人間のコラーゲンを使ったものではありません。動物や魚などのコラーゲンを用いています。つまり、肌のコラーゲンとは別もの。仮に化粧品でコラーゲンが肌の奥まで届いたとしても、それは、人間のコラーゲンとは違うものなのです。

コラーゲン配合化粧品に「美肌」効果はない①

スキンケアの化粧品の中には、「コラーゲン」を配合したものが多くあります。化粧水や美容液、乳液、ジェルやクリームなど、あらゆるものにコラーゲン配合の商品が並んでいます。コラーゲン配合の洗顔料まであり、顔を洗ってお化粧をするまでの全てをコラーゲン製品で整えることも可能な状態です。うたい文句は、「肌のうるおいを保つ」「肌の弾力を保つ」など、いろいろありますが、「コラーゲン」イコール「美肌」といったイメージ戦略が目につきます。なぜ、みなさんは、そんなイメージを持っているのですか? もともと肌にコラーゲンがあるために、化粧品でコラーゲンを補えば、美肌に役立つと思っているのではないですか? ここで、先程お話をした肌の構造を思い出してみてください。

スポンジの上にハンカチを置いて、その上にガーゼがある状態です。コラーゲンは、スポンジの部分にたくさんあります。肌の弾力やハリは、スポンジ部分に支えられているため、このスポンジにあるコラーゲンは、肌にとって重要なものといえます。しかし、肌の表面からスポンジのコラーゲンに、新たなコラーゲンを補給することは科学的には不可能です。そもそもコラーゲンは、幾つものアミノ酸が結合して成り立っています。アミノ酸というのは、コラーゲンを構成する小さな材料です。その材料を幾つも組み合わせているため、コラーゲンは分子構造が大きいのです。

肌から吸収できる分子の大きさがゴルフボールだとすると、コラーゲンは東京ドームほどの大きさがあります。無理夫理、肌に押し込もうとすれば、コラーゲンは破壊されてしまうでしょう。最近では、科学技術の進歩によって、東京ドームほどの大きさのコラーゲンをゴルフボール並みの大きさに小さく改良して、肌の奥まで浸透させることは可能になっています。ただし、それが肌の奥まで届いたとしても、本来の肌のコラーゲンの役割を担うかどうか、はなはだ疑がわしいと思わざるをえません。

ページ移動